自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

ジャッカルの日 1973年

端正なドキュメンタリータッチのサスペンス

イギリス、フランス フレッド・ジンネマン監督 原作フレデリック・フォーサイス

1962年、アルジェリアの独立を認めたド・ゴール大統領を極右派軍事組織(OSA)は暗殺しようとするが、失敗してしまう。主犯が銃殺刑にされ、他のメンバーも警察に逮捕されOSAはほぼ壊滅状態になり、最後の手段としてプロの殺し屋に暗殺を依頼する。

やってきたのがコードネーム「ジャッカル」だった。彼は50万ドルで暗殺を引き受ける。OSAは銀行を襲ってその金を調達する。

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暗殺の情報を得た大統領官邸は敏腕のルベル警視に全権を託して、ジャッカル逮捕にむかう。ジャッカルは英国人だと思われ、フランス警察はイギリス警察とも連携を取る。

 

ジャッカルは銃器のプロから軽量な改造銃を手に入れる。森の中で木に吊るしたスイカを的に試射する。破裂弾を撃ちこむとスイカは木っ端みじんになる。まるでド・ゴールの頭が破裂したようだった。

 

警察はジャッカルの正体を知ろうと膨大な関係資料を調べる。危険を感じたジャッカルは暗殺を中止してイタリアへ逃げるのか、それともパリに向かうのか、一瞬、彼は迷う。

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OSAからの情報で警察の捜査状況を知ったジャッカルは追跡を巧みにかわす。内閣会議の官僚から情報が洩れていると疑ったルベル警視は官僚全員の電話を盗聴する。ある官僚の愛人の女がOSAと連絡をとっていた。

 

暗殺の日はパリ解放記念式典の8月25日だと推測して警察は厳重に警戒する。

不思議なことに私たちは自分とジャッカルを重ね合わせ、暗殺の成功を願う。そこに奇妙な緊張感が生まれる。

 

派手な銃撃戦やバイオレンスはないが、スリリングで、スピーディ、巧みなストーリー展開、サスペンス映画の一級品だった。