悪魔の風車と地下水道
フランス、ドイツ、ベルギー、ミシェル・オスロ監督
19世紀末から20世紀初頭、ベル・エポックと呼ばれる良き時代、美しいパリを舞台にしたアニメ。
ニューカレドニアからやってきた少女ディリリは配達人の青年オレルから声をかけられる。「君はフランス語が話せるの」「あなたより上手に話せるわ」
ステキなオープニングだ。吹き替え版もあるが、フランス語の響きが楽しめる字幕版がお勧めだ。
ディリリはオレルの三輪車に乗ってパリの街を見学し、歌手エマ・カルヴェ、キュリー夫人やピカソ、ドガ、ドビッシー、パスツール、モネ、ロートレックなど有名人たちの力を借りて、パリを騒がせていた「男性支配団」の少女誘拐事件を解決しようとする。
「男性支配団」の目的は女性を抑圧し男性支配の国をつくることだった。服従させるために少女たちを「人間椅子」にしようとしていた。警視総監も彼らの仲間だった。
ディリリたちはドイツのツェッペリンの巨大飛行船で救出に向かう。
エンディング・ロールに流れるダンスシーンもステキだった。
ベル・エポック時代のパリにも光と影があった。それは今もなお続く貧困や性や肌の色の違いによる差別だった。
映画として上出来とは言えないが、パリの風景と映像の美しさに惹きつけられた。同じベル・エポックを描いたウディ・アレン監督の「ミッドナイト・イン・パリ」と同じようにいつかパリの街を散歩したいと思わせた。