自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

美しい人 2005年

原題は「nine lives」

アメリカ、ロドリコ・ガルシア監督

「A cat have nine lives」という諺がある。

女性9人の人生の一瞬を切り取った九つの物語のオムニバス。一話が12~13分程度の作品。同じガルシア監督のオムニバス「彼女を見ればわかること」には及ばないが、第9話「マギー」がとても素晴らしい。

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母親マギー(グレン・クローズ)と幼い娘マリア(ダコタ・ファニング)が静かで広い墓地の中を歩いている。墓参りにきたのだ。娘「墓はいくつあるの、誰も訪ねてこないのは何故」母親「訪ねてきた人も死んだのよ」

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墓標の上にいた猫が慌てて逃げだす。娘「ここは猫の天国ね、なぜ猫には命が九つもあるの」母親「分からないわ」

 

墓の前にシートを敷き、母親はバッグから娘の大好きなブドウを取り出す。娘は喜んで一粒食べて「覚えていたのね」と言う。

娘は大きな樹の枝に登って遠くを見る。母親「何が見えるの」、娘「女の子の青いドレス」墓の前で母親と娘は仲良く子供の遊戯をする。

 

やがて母親は「すべては過ぎ去ってゆくの、歳をとって疲れたわ」と娘の膝で眠る。カメラが360度のパンをして、元の場所にもどってくると、母親はシートを片付け、帰り支度をしている。思い出したようにバッグの中からブドウを取り出し、墓に供える。そして去ってゆく。娘の姿は見えない。

その時、私たちは気づく、これは娘の墓だったのだと。