自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

ブラック・フォン 2022年

生きている黒電話

アメリカ、スコット・デリクソン監督 原作はジョー・ヒルの短篇「黒電話」

1978年、デンバー北部の町、少年の連続失踪事件が起きていた。町の人たちは犯人をグラバー(人さらい)と呼んで怖れていた。

いじめられっ子で気弱な13歳の少年フィニーはマジシャンだという男に誘拐されてしまう。気が付けばそこは暗い地下室だった。

地下室には断線した黒電話があった。どこともつながっていない黒電話が鳴りだす。受話器を取ると殺された5人の少年の声が聞こえてくる。少年たちは自分の名前を忘れていた。

一方、フィニーの妹で9歳のグウェンは時々不思議な夢を見ていた。それは予知夢だった。行方不明になった兄フィニーを捜していたグウェンは手がかりを得ようと夢を見る。

 

フィニーは殺された少年から「自分の身は自分で守れ」と言われ、勇気を奮い起こし、奇怪な仮面を被った殺人鬼と対決する。

 

ファンタジックなホラーであり、密室からの脱出劇であり、70年代のノスタルジックな青春物語であり、その上、気弱な少年の成長譚でもあった。

 

おそらく原作の雰囲気をそのまま映画に持ち込んでいるのだろう。だからどこか懐かしい物語だった。原作者のジョー・ヒルスティーブン・キングの息子。