究極の愛と孤独な魂
フランス、ベルギー、ジュリア・デュクルノー監督
アレクシアは幼い頃に交通事故にあい、頭蓋骨にチタンプレートを埋め込まれた。両親とは冷ややかな関係だったアレクシアは成長してエロティック・ダンサーとなる。
先の尖った髪留めで男の耳の中を突いて殺し、次々と残虐な殺人を犯してゆく。殺人犯として指名手配された彼女はやむなく10年前に行方不明となった消防隊長ヴィンセントの息子アドリアンに成りすます。
髪を切り、鼻を歪ませ、乳房をテープで固く締める。彼女の身体には無数の切り傷があった。彼女は妊娠しており、やがて腹が膨らんでくる。
一方、息子を失ったヴィンセントは妄想の中で生き、尻にステロイド注射を打っていた。その尻には数多くの注射痕と痣があった。二人の肉体はグロテスクなものだった。
ヴィンセントはアレクシアが息子でないことを分かっていながら、自分の息子だと言い、アレクシアはヴィンセントを父親だと思う。それは「神とイエス・キリスト」の関係に似ていた。
やがてアレクシアの体内から黒い液体が流れ出し、陣痛が始まり、赤ちゃんが産まれる。その赤ちゃんの背骨はチタンで輝いていた。異種の人類が誕生した。