私の体の中はからっぽ
ロシア、カンテミール・パラーゴフ監督 137分
終戦直後の1945年、レニングラード、軍病院で傷痍軍人の世話をする看護師イーヤ、彼女は戦友マーシャの幼い息子パーシュカを預かっていた。
しかしイーヤは戦地でのPTSDで放心状態になる時があり、そのせいでパーシュカが亡くなってしまう。
やがて戦地からマーシャが戻ってきてその事実を知る。マーシャは不妊の身体になっており、償いとしてイーヤに子供を産むことを要求する。女性兵士にとって子どもはたった一つの癒しだった。
マーシャと結婚したいという男が現れる。大富豪である彼の家族に会うと母親はマーシャの経歴を聞き、嘲笑する。
志願して戦地に赴いた女性兵士たち、最初は賞賛されながら、戦後は人殺し、慰安婦と言われ、後ろ指を指されるようになる。
ソ連は女性兵士を恥と思い、切り捨てることで復興していった。
戦争は生き残った者にとっても厳しいものだった。とくに勇敢に戦った傷痍軍人や女性兵士にとって、その後の人生は過酷なものだった。ある傷痍軍人は院長に安楽死を要求する。
すべてのものを失ったマーシャとイーヤは、それでも二人でこの時代を生き抜こうとする。
目に見えない暴力を感じさせる作品だった。戦争は女の顔をしていなかった。
スベトラーナ・アレクシエービッチの「戦争は女の顔をしていない」が原案