何といっても迫力ある裁判劇が見どころ
アメリカ、ウィリアム・ディターレ監督 116分
1862年のパリ、すき間風が入る貧しいアパートに住む作家のゾラと、画家のセザンヌ。
ゾラは警察に追われていた娼婦ナナの身の上話を小説にして文壇にデビューする。次々と軍隊を批判する本を出版して、ゾラは富と地位を得て、有名になってゆく。
やがて「芸術家は貧しくあるべきだ」と言うセザンヌと決別する。
1894年、軍は機密をドイツにもらしたという嫌疑でユダヤ人のドレフュス大尉を反逆罪で逮捕し、終身刑で悪魔島へ送る。ドレフュス夫人は無実である証拠の書類をもってゾラに助けを求める。
ゾラはドレフュス大尉の無実を確信し、「余は糾弾する」という新聞記事を書き、軍と対立する。軍はすでに真犯人を知っていたが、いまさら軍の過ちを認めることができず、ゾラを中傷罪で裁判にかける。しかも軍は人を使って大衆を扇動していた。
その裁判でゾラは有罪になるが、英国に亡命し、執筆で世界にドレフュス大尉の無罪を訴える。
この映画のハイライトは法廷での裁判シーンだ。裁判長は露骨に軍の味方をして、弁護側の証人喚問を次々と却下してゆく。それでも諦めなかったゾラの淡々と正義を求める最終弁論は感動的だった。