自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

2022-04-01から1ヶ月間の記事一覧

メッセージ 2016年

もし「時の流れ」がなかったら アメリカ、ドゥニ・ビルヌーヴ監督 突如、アメリカ、モンタナ州に降り立った巨大な卵型の宇宙船。同じような宇宙船が世界の12か所に姿を現した。 世界中の人々は怖れ、騒然となる。地球上に非常事態宣言がだされる、エイリア…

レクイエム・フォー・ドリーム 2000年

堕ちてゆく恐怖と恍惚 アメリカ、ダーレン・アロノフスキー 夏から始まり、秋、冬へと続く物語。春はやってこない。 ニューヨーク、一日中テレビを観て暮らす孤独な未亡人サラ、息子のハリーは定職に就かず、恋人のマリオンとデザイナーズショップを開くこと…

中村うさぎ「私という病」

「どうして私は、女であることを、おおらかに正々堂々と楽しめないのか」これが中村の長年の疑問だった。 中村が買い物依存症、ホスト依存症の次に体験したのが「デリヘル嬢」だった。47歳なのに32歳と偽って面接を受け、採用された。源氏名は「叶恭子」…

あの日 あの時 愛の記憶 2011年

もう一つの「ひまわり」 ドイツ、アンナ・ジャスティス監督 1976年、ニューヨーク、夫と娘と平穏に暮らすユダヤ人女性アンナは偶然テレビ番組で、死んだと思っていた恋人トマシュの姿を見て驚く。アンナは30年以上前の辛かった日々を振り返る。 194…

インフォーマー 三秒間の死角 2019年

ニューヨーク市警vsFBI イギリス、アメリカ、カナダ、アンドレア・ディ・ステファノ監督 湾岸戦争の狙撃兵だったピートは妻に乱暴しようとした男を殺し、20年の求刑を受ける。模範囚だったピートは仮釈放と交換にFBIの情報屋になる。 FBIの女性…

ノーウェアボーイ 2009年

ビートルズになる前のジョン・レノン イギリス、アメリカ、サム・テイラー=ウッド監督 1950年代のリバプール、落ちこぼれ(ノーウェアボーイ)の高校生ジョンはプレスリーに憧れて髪型をリーゼントにしてロックンロールに夢中になっていた。 ジョンは5…

余命14年

たまたま読んだ雑誌に作家の松原惇子の短いエッセイが載っていた。 コロナ禍でかかりつけ医を探していた松原はある医者のもとを訪ねる。その医者はパソコンを見ながら話すのではなく、患者の目を見ながら話していた。 松原は信頼できる先生だと思った。 異常…

帰らざる河 1954年

ある時は穏やかに、ある時は荒々しく流れる アメリカ、オットー・プレミンジャー監督 屈強な男マットが大木を斧で切っているオープニングシーンから、酒場の歌手ケイが赤い靴を投げ捨てるラストシーンまで、何度も観たのでよく覚えている。 1875年、マッ…

春にして君を想う 1991年

アイスランドの静謐な風景 アイスランド、ドイツ、ノルウェー フリドリック・トール・フリドリクソン監督 アイスランドの北部、妻を亡くした78歳の農夫ソウルゲイルは生活に疲れ果て、愛犬を銃で殺し、思い出の詰まった家族写真や古時計を抱え、寒風の吹く…

私はあなたの二グロではない 2016年

なぜ「ニガー」が必要だったのか アメリカ、ラウル・ペック監督 黒人公民権運動家のメドガー・エバース、マルコムⅹ、マーティン・ルーサー・キングの3人が暗殺された。 彼らと親交のあった公民権運動家で作家のジェームズ・ゴールドウィン(1924~19…