自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

太陽の中の対決 1967年

男の中の男

アメリカ マーティン・リット監督

原作はエルモア・レナードの中編「オンブレ」。短編「三時十分発ユマ行き」は二度映画化されている(3時10分、決断のとき)

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インディアンたちが野生馬を捕らえるシーンから映画は始まる。しかし駅馬車が廃止され、馬を必要としない鉄道の時代に変わろうとしていた。インディアンたちは居留地に閉じ込められ、食料がなく飢えて犬まで食べていた。

そんな1880年代のアリゾナ、子供の頃にアパッチに拉致され、彼らに育てられた白人の男ジョン・ラッセル。白人の養父が亡くなり引き継いだ下宿屋を売り払い、臨時の駅馬車で町を去っていく。

ジョンの他に御者と男女6人の乗客をのせて駅馬車は南へ向かう。乗客たちはそれぞれの思い秘めて退屈な町を去ってゆく。

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ところが途中でならず者たちの襲撃にあう。5人のならず者たちの狙いは乗客の一人がもっていた大金だった。それはインディアンの食料をごまかして得た不正なお金だった。乗客たちは山小屋に立てこもり対決する。

 

ジョン・フォード監督の「駅馬車」と少し似ているが、あれほどの疾走感はなく、襲ってくるのもインディアンではなく、白人のならず者だ。派手なアクションシーンはないが、サスペンスタッチで手堅い演出の端正な佳作だった。

 

ちなみに原作「オンブレ」ではジョン・ラッセルはメキシコ人の血が混じっており、白人であり、インディアンであり、またメキシコ人という複雑な生い立ちだった。

オンブレ(男の中の男)と呼ばれた伝説の男で、彼は野生馬を密猟、密売して暮らしていた。ハードボイルドタッチの西部劇小説でもう一度読み返してみたい。