アトリエのプロたち
フランス、フレデリック・チェン監督 90分、ドキュメンタリー
2012年、ディオールのオートクチュール・コレクションのディレクターに就任したラフ・シモンズ。彼はベルギー人で男性ブランド「ジル・サンダー」で活躍するプレタポルテのデザイナーだった。
オートクチュールでの経験は初めてで、しかもパリ・コレクションまで8週間しかなかった。
彼は創始者ディオールの「女性らしさへのアプローチ」を現代に生かそうとシンプルさと活動性を重視していた。それには熟練の手仕事をするお針子たちや職人たちの協力がぜひとも必要だった。
ショー会場は格調ある古い館を借り、部屋や壁を花で埋めつくした。プレッシャーに押しつぶされそうになりながらもショーは成功する。
何といっても普段は見ることのできないディオールのお針子や職人たちの仕事が興味深いものだった。色鮮やかな一枚の布を大きなハサミで大胆に切ってゆく姿が優雅だった。
アトリエの雰囲気も、華やかなドレスを着るモデルたちの真剣な表情も手に取るようにわかる。いつしかファッションの豊かさに気づかされた。ファッションは絵画や舞踏などのアートと変わりはなかった。