激しく罵りあうユダヤ人とアラブ人
ドイツ、ドロール・ザハビ監督 112分
世界的な指揮者スポルクは紛争の続くイスラエルとパレスチナから、音楽家を目指す若者たちを集めて和平コンサートを開くプロジェクトに参加する。
家族の強い反対を乗り越えて、オーディションを勝ち抜いた20数人の若者たち。
しかし二つの陣営に分かれたアラブ人とユダヤ人の彼らはお互いに憎しみをぶつけ合っていた。スポルクは彼らを南チロルで21日間の合宿をさせ寝食を共にして、和解させようとする。
いつしか少しずつ相手のことを思いやるようになる。
ところがコンサートの前日にある事件が起こり、パレスチナの青年が亡くなってしまう。
コンサートは中止になるが、亡くなった青年を悼んで空港の待合室でイスラエルとパレスチナの若者たちはラヴェルの「ボレロ」を演奏する。同じリズム、同じメロディが繰り返され、だんだん強く(クレッシェンド)なる。
劇中、ヴィヴァルディの「四季、冬」やドボルザークの「新世界より」が情感たっぷりに演奏される。
イスラエルとパレスチナの関係は政治と切り離して協調や善意だけでは解決できない問題だった。しかし協調や善意がなければ和平の道は遠い。共存は難しいが不可能ではないと思わせるような幕切れだった。