自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

セイント・フランシス、2019年

女性による女性のための映画

アメリカ、アレックス・トンプソン監督 101分

一年で大学を中退し、いまはレストランの給仕として働く34歳の独身女性ブリジット。夏の間、6歳の少女フランシスの子守りの仕事に就く。

そしてその両親であるレズビアンカップルとの出会いを通して冴えないブリジットは少しずつ変化してゆく。

ブリジットは望まない妊娠をして中絶する。妊娠、中絶、生理、出血、産後うつなど女性特有の悩みを赤裸々にしかもユーモアを交えながら描いてゆく。それでも男性なら目を背けたくなる生々しいシーンが多くある。

 

そして生意気な6歳のフランシスと落ちこぼれの34歳のブリジットの触れ合いが可笑しくてこの映画の一つの見どころになっている。

最後にはブリジットとフランシスは「私は賢い、私は勇気がある、私はカッコいい!」と二人でガッツポーズをとる。もうブリジットは「落ちこぼれ」ではなかった。

 

正統派で王道の映画というよりインディーズ作品のようで、女性がみれば共感できるシーンがたくさんある。はっきり言えば女性のための映画だ。

ハートウォーミングな物語の底に流れていたものは黒人差別、性的マイノリティ差別などを告発し、多様性を受け入れようという姿勢だった。