自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

シャッターアイランド 2010年

妄想に翻弄される男

アメリカ、マーティン・スコセッシ監督 138分

1954年、ボストン湾の孤島の犯罪者を収容する精神病院、失踪した女性患者の捜査のためにフェリーで訪れた連邦保安官テディ・ダニエルズ。

島の精神病院は不穏な空気に包まれていた。医師や看護師や警備員は異様な雰囲気を漂わせている。この病院では非人道的な人体実験も行われているという。一方、テディは幻覚や悪夢に悩まされていた。

しばらく経つと私たちは島でテディが見たものは真実なのか、それとも妄想なのか、分からなくなる。彼の言っている事にはどこか違和感がある。やがて医師たちがおかしいのではなく、テディが異常なのではないかと疑うようになる。

 

終盤に驚愕の事実が分かる。テディは2年前から精神病院の67人目の患者で、捜査に来た連邦保安官ではなかった。3人の娘たちを水死させたうつ病の妻、その妻を殺した彼は精神錯乱して、この病院に収容されていたのだ。

伏線が次々と回収されてゆき、すべてはテディの妄想と医師たちの「計画」だったことが分かる。

テディは一時的に正気に戻り、妄想が消える。しかししばらくするとまた元の妄想に陥ってしまい、医師たちは最終の決断をくだす。それはある手術をすることだった。

 

ただただ不穏で奇妙な空気感がこの物語を覆っている。それがこの映画の魅力だった。