自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

テープ 2001年

三人の息詰まる会話劇

2001年、アメリカ、リチャード・リンクレイター監督

 汚いモーテルの部屋、ヤクの売人ヴィンスを訪ねてきた高校時代の親友で新進の映画監督ジョン。二人は再会を喜び合うが、いつしか話題は10年前の高校時代の「あの日」の出来事になる。

当時付き合っていたエイミーをジョンがレイプしたのではないかとヴァンスは問い詰める。初めはそれを否定していたジョンだったが、話が進むにつれてレイプを認める発言をする。ヴィンスはその言葉をテープに録音していた。そして今は地方検事補になっているエイミーを電話で呼び出し、そのテープを聴かせる。

ところがエイミーがあれはレイプでなかったと言いだす。

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恋人までの距離」のリンクレイター監督とイーサン・ホークがタッグを組んだ会話劇。一般受けはしないかもしれないが、挑戦的、意欲的なこの映画を高く評価したい。

ヒッチコックの「ロープ」を思わせる設定で、舞台は一部屋だけ、登場人物も3人、しかも86分という上映時間は実時間そのものだった。低予算映画で息苦しくなるストーリー展開だが、緻密な脚本と会話の心理劇で最後まで釘付けになった。

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謝罪するジョンの偽善性、ヴィンスの妬み、それを軽くかわしてゆくエイミーのしたたかさ。ジョンはなぜ謝罪したのか、3人の間にどんな過去があったのか、ヴィンスがテープに録音した狙いは何だったのか、真相はどこにあるのか、様々な疑問がわいてくるが答はなく映画は終わる。

 

「・・♪あなたは言うわ 犯した過ちは 若気の至りだと でもそうじゃないの いけないことをしてしまった私 ごめんなさい 心から謝るわ この気持ちどうか受け取って・・♪」