自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

恐怖の報酬 オリジナル完全版

男たちの死にざま

1977年、アメリカ、ウィリアム・フリードキン監督

メキシコの殺し屋ニーノ、フランスの投資家セラーヌ、アラブ・テロリストのカッセムアイリッシュ・マフィアのドミンゲス、4人の男が南米の奥地に流れ着いてきた。

 

4人の男は高額な報酬を目当てに爆破された油田を鎮火させるために、ニトログリセリンをトラックで運搬する。ジャングルの道なき道を2台のトラックはすすむ。しかしわずかな振動でもニトログリセリンは爆発する。

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南米の独裁的な政治体制の国、村はジャングルに囲まれている。住民たちは貧困にあえいでいた。油田の採掘という危険な仕事だけが収入源だった。ここを舞台に男たちの命がけのトラック輸送が始まる。

前半は4人の男の過去を描き、中盤からは「息をつく暇もない」緊張の連続だった。無事にニトロを届けたドミンゲスはすべての傷が癒されたように村の女とダンスをする。この映画でのたった一つの安らぎのシーンだが、そこに・・・・。

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スリリングで見応えのあるサスペンス映画で、印象に残るのはジャングルの道なき道をすすむトラックのシーンだった。

見たことのない光景を表現するのがCG映像だが、それに対してアナログ映像には臨場感と緊張感がある。そのリアルな迫力と緊張感あふれる映像がこの映画の一番の見どころだった。

 

この映画は1953年クルーゾー監督の「恐怖の報酬」のリメイクだが、リアルな映像で物語を再構築して二番煎じという感じがしなかった。ダイナミックな活劇調の快作で、男ならこの破滅的な男の世界にあこがれるかもしれない。