奇妙な映像表現に圧倒される
「八十日間世界一周」や「海底二万哩」のジュール・ヴェルヌの原作を映画化した。
実写とアニメと切り絵、美術セット、書割、銅版画を組み合わせて、独創的で童話的な世界をつくりあげた。
科学者のロック教授とその助手ハルトは平和利用のためにある新型兵器の実験を進めていた。ところがある日、大富豪のダルティガス伯爵の差し金で海賊たちに誘拐され、火山島に幽閉される。
ダルティガス伯爵はロック教授に新型兵器を完成させようとする。強力な破壊力をもつ新型爆弾を使って世界を征服しようと企んでいたのだ。
模型のような潜水艦、海の中を行く自転車型の乗り物、ペダル式の飛行船、泳ぎ回る海中の生き物たち・・実に不思議な光景に見とれるばかりだ。
やがて映像の中に自分が取り込まれたような気分になる。
もちろんセリフはあるが、どこかサイレント映画を思わせた。一体いつの時代の映画だろうかと、不思議な感覚に襲われる作品だった。
ストーリーはたわいないものだが、何よりも奇妙な映像表現に圧倒される映画だった。