自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

A GHOST STORY/ア・ゴースト・ストーリー

時の過ぎゆくままに

2017年、アメリカ、デヴィッド・ロウリー監督

 

妻と夫の会話から物語は始まる。妻が「子どもの頃、引っ越しが多かったわ、メモを書いてそれを小さく折りたたんで隠した。そうすればいつか戻って来た時に、昔の私に会える」と言う。「どんなことを書いたの」「ちょっとした詩・・思い出など」「戻ったことはある?」「ないわ」

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郊外の一軒家で幸せに暮らす若い夫婦、その家では時々、変な音がする。ある日、夫が交通事故で死んでしまう。妻は病院で夫の遺体を確認する。そして悲しみでシーツを遺体にかぶせ去ってゆく。

しばらく経つと、遺体はシーツをかぶり、幽霊となって病院を離れ、家に戻ってゆく。誰にも幽霊の姿は見えない。

家でもう一人の幽霊とテレパシーで会話する「ここで人を待っているの」「誰を?」「覚えていない」家が取り壊されると「もうこないかも」とその幽霊は消滅する。

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妻が壁の隙間にメモを隠して家を去った後も幽霊は、その家を離れる事が出来ない。

別の家族が越してくる。物理法則の世界では人類は必ず絶滅すると強い口調で話す男。では生きる意味はどこにあるのか。誰も分からない。

 

やがて幽霊は家のあった土地の未来、過去を旅する。そして妻が去ろうとしている家に戻り、妻の隠したメモを読む。その瞬間、幽霊は消滅する。妻はもう戻ってこない。

繋がりのない夢かうつつか分からない出来事が次々と起こる・・これが幽霊の世界なのか。だとすると幽霊は怖いものではなく、生きている人間より哀しくて切ない生き物だ。

 

ファンタスティックでユーモアがあって、センスの良さを感じさせる映画だった。