サイコスリラーの香りがするヒューマンドラマ
パーキンソン病の母親と寂しく暮らす独身女性ナンシーは嘘の常習者だった。悪いたくらみがあるわけではなく、ただ他人に注目されたいだけだった。母親が亡くなりナンシーはひとりぼっちなった。
30年前に行方不明になった5歳の娘を探し続けているリンチ夫妻がテレビに登場する。CGで予想した30年後の娘の顔がナンシーとそっくりだった。
ナンシーはリンチ夫妻に自分は行方不明になった娘だと二人の家を訪ねる。明日、検査技師がDNA鑑定のためにやってくるという。ナンシーは嘘がばれるのを恐れて帰ろうとするが、夫婦に泊まってゆくように引き留められる。
翌日、検査技師は夫レオと妻エレンそしてナンシーの唾液を採取してゆく。2~3日後に結果が分かるという。
娘だと信じたいエレンと家族がほしいナンシーはお互いに求めあってゆく。しかし夫は疑いの目でナンシーをみていた。20年前に現れた少女は偽物だったからだ。
技師からの電話で検査結果を知ったエレンは「人の存在は儚いものよ。大切なのは今ある関係。触れられる相手、愛しているわ、無条件に」と言ってナンシーを抱きしめる。
ナンシーはいたたまれなくなり「話さずに隠していたことがいくつかある」と真実を話そうとするが、夫妻に「話は明日にしよう」と言われる。
特に事件が起こるわけでなく雪景色が美しいドラマだった。86分という小品だが切なさが心に沁みる「未体験ゾーンの映画」だった。