自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

パージ 2013年

「パージ」シリーズの第一作

アメリカ ジェームズ・デモナコ監督

2022年のアメリカ、「建国の父」は一年に一回、3月21日夜7時から翌朝7時までの12時間、すべての犯罪が合法とされる日を設けた。パージ(浄化)で人間の暴力性や凶暴性を解放し、大衆にカタルシスをもたらす管理された社会だった。

ただ政治家など権力者への犯罪行為は禁止された。富裕層は生き残り、貧民層がターゲットにされた。ホームレスなどはパージされるために存在しているとまで言われた。そうすることで失業率と犯罪率が1%までに低下し、経済も改善したのだった。

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夫婦と娘と息子の4人家族のサンディン一家はパージの日、防御された家に閉じこもっていたが、ホームレスの黒人の男を匿ったことでパージする集団(パージャー)に襲われる。

パージャーのボスのサイコ男が現れるシーンの怖さ。なにしろ異様な仮面をとるともっと怖い素顔があらわれるのだ。ところがこのサイコ男を殺すのが「ご近所さん」でこれもまた違った意味で怖い。

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近未来のアメリカを舞台にしたホラー映画だが、もちろんこれは今のアメリカをカリカチュアライズ(戯画化)した作品だ。そこは暴力さえも管理する理想の社会だった。だから国民の多くが「パージ」に同意していた。

 

映画の冒頭に実際の監視カメラの映像が映し出される。それは数々の暴力シーンで、確かにアメリカは暴力の国だが、自由の国でもある。

暴力と自由、良くも悪くもそれがアメリカの強さだと思う。