自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

バクラウ 地図から消された村

奇妙な感動をよぶ怪作

2019年、ブラジル、フランス、クレベール・メンドンサ・フィリオ監督

今から数年後、ブラジル、ペルナンブコ州の小さな村、バクラウ。村にやってきた給水車に銃弾が撃ち込まれた。

インターネットの地図からバクラウが消えていた。携帯電話も通じない。村はずれの牧場に住む家族全員が殺される。そしてUFOのような飛行物体から声が聞こえる。

次々と奇妙なことが起こる。一体、誰の仕業なのか。

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やがて犯人は白人の殺し屋集団だということが分かる。殺し屋集団の中には警察官や政府関係者たちもいた。やがて殺し屋集団は村人たちを皆殺しにしようとバクラウに現れる。

しかし村は無人だった。村人たちは不思議な薬を飲み、戦いのダンスを踊り、彼らと対決しようと待ち伏せをしていたのだ。

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前半はいったい何が起こっているかよくわからない。村人たちもどこか奇妙だ。ところが後半になるとグイグイと引き込まれてゆく。

暗黒童話のような得体のしれない怖さが襲ってくる。何が狂っているのか分からない。裸の男が殺し屋の顔を散弾銃で粉々にする。

バクラウ歴史博物館の古い写真と展示物、長刀で切り落とした首を高く掲げ、勝利を叫ぶ男。生首がいくつも転がっている。家の前には棺桶が並んでいる。

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この映画は寓話なのか、それともこれが現実なのか。私たちは歪な世界に迷い込み、奇妙な映画体験をする。

カンヌ国際映画祭審査員賞、受賞作