自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

愛する時と死する時 1958年

ドイツ側から見た戦争

アメリカ、ダグラス・サーク監督

原作は「西部戦線異状なし」の著者レマルクの小説

ナチスドイツの敗色が濃くなった1944年、対ロシア戦線、ドイツ軍兵士グレーバーは3週間の休暇をもらい、故郷に帰る。

故郷は爆撃で廃墟の町になっていた。瓦礫と化したドイツの町が戦争の破壊と悲惨を伝えている。両親は行方不明だった。母の主治医だったクルーゼ医師を訪ねるが、彼はゲシュタポに連れ去られており、娘のエリザベスはゲシュタポに監視されていた。

 

グレーバーはエリザベスと恋に落ち、結婚する。やがて休暇が終わりグレーバーはロシア戦線に戻る。

主人公がドイツ軍兵士であり、ドイツ側から描いた作品で、しかも使われるのはドイツ語ではなく英語だった。最初はそれに違和感を覚えるが、しかし慣れてくると物語に引き込まれてゆく。

そして戦時下のラブロマンスに酔いしれていると予期しなかったラストシーンに呆然となる。

サーク監督作品の「天はすべて許し給う」「悲しみは空の彼方に」ではメロドラマと重なるように人種差別や同性愛への問題が取り上げられていた。

 

この映画も甘いラブロマンスであり、反戦映画でもあった。ナチスから逃れ、亡命してきたサーク監督の思いが込められていた。ラストシーンの衝撃がこの映画を心に残る作品にしていた。