自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

ステップフォード・ワイフ、1975年

いつしか恐怖が沁み込んでくる

アメリカ、ブライアン・フォーブス監督

原作はアイラ・レヴィンのSFホラー「ステップフォードの妻たち

セミプロの写真家ジョアンナは弁護士の夫ウォルターと娘たちと一緒にニューヨークから閑静な田舎町ステップフォードに引っ越してきた。隣人も優しく理想的な町だと思っていたが、どこか違和感を覚える。

 

少し前に引っ越してきたボビーと友達になるが、彼女もまたこの町の妻たちに違和感を覚え、二人でこの町の秘密を探り出そうとする。ステップフォードに住む妻たちは仕事もせずにただただ夫に従順で家事だけにいそしむ女性ばかりだった。

やがて「男性クラブ」にその秘密があると知るが。驚いたことに突然、ボビーも従順な妻になってしまう。引っ越して4カ月経つと妻たちは全く違った人間になってゆくのだった。いやそれはもはや人間とは違う生き物だった。

 

ジョアンナは町から逃げ出そうとするが、それを夫や男性クラブの男たちに知られてしまう。

前半はウーマンリブの物語のように見えるが、徐々に何かが違うと感じ、終盤になると不気味な恐怖に襲われる。男たちの心の奥にある「貞淑な妻」という欲望が実体化したのだ。

 

グロテスクなホラーとは違う恐怖がそこにはあった。カルト的な魅力に惹きつけられるが、もしかしたらこれは傑作になりえた作品だったかもしれない。