自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

陽のあたる場所、1951年

上質の心理サスペンス

アメリカ、ジョージ・スティーブンス監督 122分

母と二人暮らしの貧しく野心的な青年ジョージは伯父の経営する水着製造工場で働き始める。社内恋愛は禁止だったが、同僚のアリスと恋に落ち、逢瀬を重ねる。

伯父から昇進を約束されたジョージはパーティで富豪の美しい令嬢アンジェラと知り合い、彼女の可憐さと美しさに目を見張る。たちまち二人は惹かれあう。

ところがアリスが妊娠したことが分かると、ジョージはアンジェラを愛するあまり、アリスが邪魔になり、いつしか殺意を覚えるようになる。

やがて湖での不慮の事故でアリスは溺れ死んでしまう。ジョージは殺人の容疑で裁判にかけられる。

 

アリスとアンジェラの間で身動きが取れなくなり、徐々に追い詰められてゆくジョージ。この映画にラブロマンスの甘さはあまりなく、ジョージの揺れ動く心理を濃密に描いたサスペンスといったほうがいいだろう。

 

セオドラ・ドライサーの原作「アメリカの悲劇」というタイトルにふさわしい破滅してゆく男の悲劇だった。