自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

あのこと 2021年

有無を言わせぬ圧倒的な迫力

フランス、オドレイ・ディワン監督 100分

中絶が違法だった1960年代のフランス、優等生の女子大生アンヌは大切な試験を控えて、妊娠していたことに気づく。「いつか子供は欲しいが、人生と引き換えはイヤ」

 

混乱して絶望してゆくアンヌは壮絶な行動に出る。注射や編み針や金属棒を使って自分で堕胎しようとするがうまくいかない。アンヌの生理的な痛みが直接、伝わってくる。彼女の地獄のような苦しみが続く。

男友達が違法な中絶をした女性を紹介してくれる。アンヌと同じような経験をしたその女性は400フランで中絶の処置をしてくれる夫人を紹介する。しかし中絶は失敗する。夫人にこれ以上は危険だと言われるが、自己責任の上でもう一度処置をしてもらう。

 

やがて夜、トイレの中、へその緒が繋がれている状態で、大量の血と胎児が流れ出した。へその緒をアンヌの友達がハサミで切る。

アンヌが中絶するために奔走する12週間の物語。リアルな映像で生理的な痛みと緊迫感と感動にあふれていた。日本映画では撮ることのできない圧倒的な迫力の見事な作品だった。

ヴェネチア国際映画祭、金獅子賞受賞