イスラム国とは過激思想だ、どこにでも飛び火する
アメリカ、マシュー・ハイネマン監督 92分、ドキュメンタリー
シリア北部、ラッカ、40年に渡るアサド政権の独裁に市民は立ち上がった。内戦状態になりその空白に乗じて黒い旗を掲げるイスラム国(IS)はラッカを首都として制圧した。
爆撃と過激思想と残忍な公開処刑で美しい街ラッカは廃墟となってゆく。
市民によって結成されたジャーナリスト集団RBSS(ラッカは静かに虐殺されている、の頭文字)はスマホで情報発信してこの惨状を世界に伝えていた。それを知ったISはRBSSのメンバーと家族を次々と殺戮してゆく。
トルコに逃れたメンバーが殺害される。そしてドイツのRBSSのメンバーはネオナチのシリア難民排斥運動で身の危険を感じる。
子供たちは洗脳されてISの兵士となり、自爆要員となって死んでゆく。幼児が笑いながらぬいぐるみの首を切り落としている。「空爆でISを消滅させることはできない、ISは思想だ」とRBSSのメンバーは語る。
外国のプロを使った高度な映像技術はISのプロパガンダに利用される。彼らはパラボラアンテナを撤去し外部とのあらゆる情報を遮断していく。
恐ろしいほどのリアリティと迫真性のドキュメンタリーだった。