自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

ザ・ホエール 2022年

巨体のチャーリーとメルヴィルの「白鯨」

アメリカ、ダーレン・アロノフスキー監督 117分

体重272キロで余命わずかな男チャーリー、数年前、彼は妻メアリーと8歳の娘エリーを捨てて、同性の恋人アランの元に走ったが、恋人は自死してしまった。

チャーリーは過食症に陥り怖いほどの巨体になっていた。今は大学のオンライン講師として文章の書き方を教えて生計を立てていた。

歩行器なしでは歩けず、重度の心不全で死期が近づいていた。チャーリーは自分の死期を悟っていたが、治療をうけようとはしなかった。過去の自分の行動を悔いていたからだ。

 

彼の面倒を見るのはアランの妹で看護師のリズだった。チャーリーは17歳になった娘エリーとの絆を取り戻そうとしていた。ところが家にやってきたエリーはいろいろな問題を抱え、チャーリーを恨んでいた。

チャーリーの最期にいたる五日間の出来事で舞台はほとんどがアパートの一室だけで、しかも登場人物はチャーリー、リズ、エリー、宣教師の男トーマス、元妻メアリーとピザ配達の男の5人だった。

 

なんといっても想像を絶する肥満体のチャーリーに圧倒的なインパクトがあり、それはある意味、おぞましい姿だった。暗くて濃密で単調な物語なのに何故か集中して鑑賞できた。