クライムサスペンスの佳作
韓国、キム・テギュン監督 110分
「暗数」とは犯罪統計の分野で、警察などの公的機関に認知された犯罪の件数と実際に起きた犯罪の件数の差をいう。
恋人を殺し、逮捕されたカン・テオからキム・ヒョンミン刑事は「俺が殺したのは全部で7人だ」という告白を受ける。彼の証言以外、証拠はなかった。
直感的にそれが真実だと信じたキム刑事は警察内部や上層部の反対を押し切って捜査を始める。
なぜカン・テオはそのような告白をしたのか。彼は殺人の減刑や、そしてキム刑事から差し入れられる金品が目的だった。
サイコパスのカン・テオに翻弄されながらも、地道な捜査でやがて白骨化した死体が発見されると、カン・テオは「俺は運んだだけだ」と供述を覆す。
キム刑事はテオにいいようにあしらわれてゆく。ふてぶてしいテオの笑い声が聞こえてくるようだ。
キム刑事を翻弄するカン・テオの知的なサイコぶりに迫力があり、じつに怖かった。あまり期待していなかった映画なのだが、刑事とサイコパスとの対決に引き込まれてゆく。韓国映画独特の「暗さ」もあり、拾いものの映画だった。