自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

2021-02-01から1ヶ月間の記事一覧

読書の扉をノックする

愉しみの読書 以前は読んだ本を日記(10年日記)にメモしていたが、今はすっかり忘れている。ここ2~3か月(たぶん)の間に読んだ本を思い出す限り書き出してみた。 ミシェル・ビュッシ「彼女のいない飛行機」、河合薫「コロナショックと昭和おじさん社…

カセットテープ・ダイアリーズ 2019年

原題は「Blinded by the Light」光で目もくらみ イギリス グリンダ・チャーダ監督 1980年代のイギリスの田舎町ルートン、だれもが通り過ぎてゆくだけの退屈な町だった。 パキスタンからの移民の子ジャベドは1987年に16歳の高校生になった。町の人…

ラストレター 2020年

岩井ワールドの叙情性 日本 岩井俊二監督 舞台は緑あふれる宮城県、姉三咲の葬儀に参列した妹の裕里、三咲あての高校の同窓会の招待状を手渡された。姉の死を告げるために同窓会に出席するが、姉と勘違いされてしまう。 同窓会で初恋の相手乙坂鏡史郎と再会…

ナンシー 2018年

サイコスリラーの香りがするヒューマンドラマ アメリカ クリスティーナ・チョー監督 パーキンソン病の母親と寂しく暮らす独身女性ナンシーは嘘の常習者だった。悪いたくらみがあるわけではなく、ただ他人に注目されたいだけだった。母親が亡くなりナンシーは…

あなたの名前を呼べたなら 2018年

インド映画の新しい波 インド、フランス、ロヘナ・ゲラ監督 インドの大都市ムンバイ、建設会社の御曹司アシュヴィンの婚約が破談になり、田舎育ちのラトナは傷心のアシュヴィンのマンションで住み込みのメイドとして働くことになる。 ラトナは親の一存で結婚…

阪急今津線の思い出

有川浩の連作短編「阪急電車」は映画化されているが、小説も面白かった。 今津線の8つの駅を舞台にした「いい話」でほっこりとした気分になれる小説だった。この今津線はかつて私の通学路線だった。 「西宮北口駅」当時、まだ西宮球場があった。あまり下車…

FREAKSフリークス 能力者たち

フリークスと人類の戦い 2018年 カナダ、アメリカ、ザック・リボフスキー、アダム・B・スタイン監督 父ヘンリーと7歳の娘クロエは外界との接触を断って隠れてひっそりと暮らしていた。二人は超能力者でそれを知られると殺されるからだ。 見た目はまっ…

クー嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件

幻灯機が映し出す世界 1991年、台湾 エドワード・ヤン監督 台湾映画には韓国や中国や日本映画にはないものがある。それは「懐かしさ」だ。 台湾の風景や暮らしぶりを見ているとなぜかそこに住んでいたような気持ちになる。少年だった頃を思い出し、永遠…

コリーニ事件 2019年

欲しいのは正義だけ ドイツ マルコ・クロツイパイントナー監督 原作は著名な弁護士フェルディナント・フォン・シーラッハの同名小説、短編集「犯罪」「罪悪」は衝撃的だった。 2001年5月、ドイツで30年以上暮らしてきた67歳のイタリア人コリーニが…

オアシス 2002年

二人だけの世界 韓国 イ・チャンドン監督 飲酒運転で清掃員を死亡させてしまった29歳のジョンドゥが出所してきた。前科3犯で社会不適応者の彼は家族の厄介者だった。 実は轢き逃げ犯は兄でジョンドゥはその身代わりに服役していた。 彼は謝罪のために清掃…