自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

読み書きができるということ

7億5000万人

映画「愛を読むひと」は主人公の女性が文盲だったということがとても衝撃的だった。第二次大戦前後のドイツ、若い女性ハンナは本を朗読してもらうことが好きだった。彼女は文字を読むことができなかった。

彼女は裁判での筆跡鑑定を断り、文盲であることを知られるより無期懲役を選んだ。

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ボブ・グリーンのエッセイ集「チーズバーガーズ」にも読み書きのできない男がでてくる。

男は55歳の配管工で子供のころから読み書きを習ったことがなかった。結婚したが妻にも子どもたちにもそれを隠してきた。職場でも家庭でも誰にでも、恥ずかしくて文盲だと言えなかった。

彼は字が読めないことを知られるより仕事を失うことを選んだ。

 

信じられないかもしれないが、私は読み書きのできない女性と仕事をしたことがある。彼女は書類を必ず、家に持ち帰っていた。誰かに書いてもらっていたのだろう。彼女は文盲であることを隠していたので私は誰にも言わなかった。

 

文盲だったある女性が読み書きを学ぼうと決心した。読み書きができるようになっての帰り道、彼女は夕焼けがこんなにも美しいものだと初めて気づいた、という話を聞いた事がある。

彼女は今まで何度も夕焼けをみていたのにこれほど美しいものとは思わなかった。不思議な気もするが、なんとなくわかるような気もする。

 

2017年の時点で読み書きのできない人が世界には7億5000万人いると言われている。