自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

リード・マイ・リップス 2001年

唇の動きを読む

フランス、ジャック・オーディアール監督

補聴器がはなせない聴覚障害者の35歳の女性カルラはやりがいのない仕事に追われていた。カルラは美人でもなく男友達もなく、寂しい日々を送っていた。

彼女の助手として仮釈放中の青年ポールが雇われる。カルラは野生的な雰囲気をもったポールに惹かれてゆく。

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仕事上の不満から、カルラは同僚の書類をポールに盗ませ、気に食わなかったその同僚を失脚させるのだった。また難癖をつける取引先の男をポールに襲わせて怪我をさせる。取引先の男はおとなしくなり、仕事は順調にすすむ。カルラにとってその経験は快感だった。

 

カルラはポールに会った日から自分のなかの女に目覚め、徐々に変貌してゆく。ポールのシャツの匂いを嗅ぎ、身にまとう。パーティでは恋人のふりをしてポールを女友達に紹介する。

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やがてポールは大金の強奪を計画し、読唇術ができるカルラを引き込んでゆく。隣のビルの屋上からボスの部屋を双眼鏡で覗き、強盗犯たちの会話を唇の動きで読み取るのだった。

しかし大金が盗まれたことに気づいたボスはポールを殴り、監禁する。

 

最後にカルラが手にしたのは今まで縁のなかった「男と金」だった。そしてそこに「愛」が生まれた。サスペンスタッチで爽快な「女のフィルム・ノワール」だった。