自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

2020-07-01から1ヶ月間の記事一覧

深夜の告白 1944年

ハードボイルドと人情劇 アメリカ、ビリー・ワイルダー監督 1938年、ロサンゼルス、深夜、一人の男がよろめきながらオフィスに帰ってくる。彼は録音機にむかって殺人の告白を始める。 男は保険会社の有能な外交員ウォルター・ネフだった。彼は顧客のディ…

若い女 2017年

女性監督の描く「若い女」とは フランス レオノール・セライユ監督 パリ、31歳のポーラは10年間一緒に暮らした写真家の恋人ジョアキムから家を追い出されてしまう。お金も家も仕事もないポーラはジョアキムの猫をつれてパリをさまよう。 饒舌で嘘つきで…

幸運と不運

どうしようもないことがある しばらく音信のなかった女友達から電話がかかってきた。今、入院しているという。涙声で「私、何か悪いことをした?」という。普段、気風が良くて自立心の強い女性だったので、その痛々しい口調に私はすこし戸惑った。 「そんな…

愛に関する短いフィルム 1988年

彼女は何を見たのか ポーランド クシシュトフ・キエシロフスキー監督 「デカローグ」全10話は 1989年~1990年に製作されたポーランドの60分程度のテレビドラマ・シリーズ。あまりにも完成度が高くヴェネチア国際映画祭などで絶賛された。 その第…

ジャッカルの日 1973年

端正なドキュメンタリータッチのサスペンス イギリス、フランス フレッド・ジンネマン監督 原作フレデリック・フォーサイス 1962年、アルジェリアの独立を認めたド・ゴール大統領を極右派軍事組織(OSA)は暗殺しようとするが、失敗してしまう。主犯が銃…

舞踏会の手帖 1937年

人生の断片を散りばめた万華鏡 フランス、ジュリアン・デュヴィヴィエ監督 16歳のとき、初めて舞踏会にデビューしたクリスティーヌは未亡人になった。子供も友人もなく、20年間の結婚生活はあまり幸せではなかった。 過去を捨て新しい人生を踏み出すため…

高野秀行「謎の独立国家ソマリランド」

そして海賊国家プントランドと戦国南部ソマリア 高野は無政府状態のソマリアを2009年と2011年、取材で訪れた。ソマリアは民主国家「ソマリランド」海賊業の「プントランド」戦国状態の「南部ソマリア」に分かれている。 ソマリ人には昔から拉致文化…

シェナンドー河 1965年

かつて父親には絶対的な存在感があった アメリカ アンドリュー・V・マクラグレン監督 1863年、南北戦争下のバージニア州、チャーリー・アンダーソンは広大な農場を経営していた。妻は16年前に亡くなり、息子6人、娘1人を育て上げた。チャーリーは戦…

戦火の勇気 1996年

戦場はブラックボックス アメリカ エドワード・ズウィック監督 イラクとの湾岸戦争、サーリング中佐は誤って味方の戦車を攻撃して、親友のボイヤー大尉を死なせてしまう。その罪の意識にとらわれて酒に溺れていた。 そんな中、サーリング中佐は戦闘中に亡く…

チワワは見ていた 2012年

魔法瓶の中の魔法 アメリカ、イギリス ショーン・ベイカー監督 ロサンゼルス、チワワと暮らすポルノ女優のジェーンは同じ仕事の友人メリッサとその恋人マイキーの家に同居していた。 ジェーンは母親に旅費をだすから「会いに来て」と電話をするが断られてし…